人間主義的な経営もお仕着せとなる 〜金井嘉宏さんのご本から 8

 参加型の管理は、いくら従業員の考えを反映するための人間主義的な経営といわれていても、これを一律におこなうと、一部の人たちにはお仕着せとなってしまう。人間主義の顔をしているだけに、その押し売りは、非人間主義的な手法の押しつけ以上に、かえって具合がわるい。それがいやなひともいるのに、美名のもとに、みなに一律に施されがちだからよくない。
 同じことが職務充実や労働の人間化についてもいえる。われわれは、ルーチンで単純な繰り返しの仕事より、複雑で挑戦的な仕事に、ひとは燃えると考えがちである。わたしも、この分野での研究を知らなければ、そう考えてしまいそうになる。そう考えるのは、積極的な人間を想定していて誇らしく思えるから、なおのことである。
 しかし、ハーバード大学ターナーとローレンスの研究によれば、あらゆるひとが、より複雑な職務を好むとは限らない。それをより強く好むのは、米国では田舎に住むプロテスタントで達成動機や成長意欲の強いひとであった。ここでも「よりいい仕事」という美名のもとに、一律管理してはいけないことがわかる。労働の人間化を好まないひともいるわけだから、人間尊重の経営も一筋縄ではいかない、微妙なものだ

ルーチンで単純な繰り返しの仕事より、複雑で挑戦的な仕事に、ひとは燃えると考えがちである..へんかへのてきおうがしんりなせいぶつがくでも、きっとりょうほうあるんでしょうね
ニューウェーブ・マネジメント―思索する経営