慣れると工夫しなくなる 〜金井嘉宏さんのご本から 5

 ドミナント・デザイン(支配的設計仕様)は、諸刃の剣だ。それは生産工程の革新を促進するが、画期的精神革新を抑制する。「これが車だ」という限定的な答えを示しているのだから、このような抑制効果をもっても仕方がない。換言すれば、大きな工夫を抑制するから生産性が上がるのだ。この現象を、W.アバナシーは生産性ジレンマと呼んだ。
 難しいコンセプトのようだが、産業レベルだけでなく、個人レベルでも組織レベルでも生じそうな話である。生産性ジレンマが意味するのは、慣れると工夫しなくなるということにほかならない。慣れ親しんだやり方を疑うのは難しい。二重ループ学習という概念でふれたのは、このような疑いの復権だったともいえる。
 自問してほしい。今の仕事のやり方で本当にいいのか、と

大きな工夫を抑制するから生産性が上がる..さいしょのいっぽは、でもココカラですね
ニューウェーブ・マネジメント―思索する経営