上手な批判の秘訣 〜ダニエル・ゴールマンさんのご本から 8

具体的に言うこと
 問題がはっきり表れている場面を捉えて批判すること。改善を要する問題点がよく見えるケース、あるいは特定部分に関する処理能力の欠如がパタンとして表れている場など。「何か」良くないと言われるだけでどこをどう変えればいいのかわからない状態では、士気が低下する。具体的にどこが良くて、どこが悪くて、どうすれば改善できるかを指示することが大切だ。遠まわしな言い方や間接的な表現はよくない。伝えるべき要点がぼけてしまう。夫婦のあいだで苦情を言うときの「XYZ」と同じだ。何が問題なのか、何が悪くて自分がどういう気持ちにさせられたか、どう改善してほしいか、相手にはっきりと伝えることが大切だ。「具体的に、というのは批判する場合だけでなく誉める場合にも大切なポイントです。漠然とした褒め言葉でも効果がないとは言いませんが、大きな効果はありません。それに、そこから何か学ぶこともできません」と、レヴィンソンは指摘している。

解決策を示すこと
 批判が有益なフィードバックとなるためには、問題処理の方向が示されていなければならない。さもないと、批判された側に挫折感や士気の低下や動機の喪失が残るだけだ。批判は、本人が気づかなかった可能性や選択肢に目を開かせる場合もあれば、対処を要する欠点に気づかせるだけの場合もある。いずれにしても、そうした問題の処理方法について方向を示す内容でなければならない。

直接伝えること
 批判も賞賛も、面と向かって一対一で伝えるのが最も効果的だ。人を批判したり褒めたりするのが苦手な人はメモなどで間接的に意を伝えようとするが、これではコミュニケーションに生の息づかいがなくなり、受けとめるほうも反応したり質問したりする機会を与えられないことになる。

気持ちを察すること
 つまり共感すること、批判を受ける側に批判の内容や口調がどう伝わるかを察することだ。共感能力に欠ける管理職は相手をぺしゃんこにするような酷評をフィードバックするケースが多い。そのような批判は破壊的な影響をもたらす。これでは問題点が改善されるどころか、恨みつらみや自己弁護の言葉が感情的にはね返ってきて、心の距離は遠くなるばかりだ

心の距離は遠くなるばかり..みんなわかってるのにね
EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)