偶有性=インターネット性の概念 〜石井淳蔵さんのご本から

 ここには、インターネットが偶有的世界を作り出したのではなく、偶有的世界のなかにインターネットが呼び寄せられたという逆説が込められている。どちらが正しいか、それはここでは問うまい。偶有的=インターネット的世界が現代の支配的な様相であることさえ確認できれば十分だ。 われわれは実際、ビジネスの世界に対して偶有的な感覚を持ち始めている。たとえば、自動車は自動車業、銀行は銀行業、小売は小売業、通信は通信業と考えて、ことがすんでいた時代があったことを思い出してみよう。その現実は、市場や技術(いわゆる産業)によって枠をはめられたものだったのだが、それを当然のことと考えて疑うこともなかった。メーカと銀行とコンビニと通信会社が競争する(あるいは競争するために提携する)可能性は想像の外にあった。産業といった枠を所与としてしまい、多様な可能性に開かれているという感覚もなければ、誰かの巧みな戦略によって産業の枠がガラッと崩壊してしまうという感覚もなかったはずだ。その当時、偶有性というより、必然性の感覚がわれわれを支配していたのだ

偶有性というより、必然性の感覚がわれわれを支配していた..わずか10ねんまえのこと? でもたしかに
インターネット社会のマーケティング―ネット・コミュニティのデザイン