ポスト産業資本主義時代における法人化の意義 〜岩井克人さんのご本から 10

 会社という制度が、オーナや支配株主といったおカネの供給者の利益を増進するための道具から、逆に、専門経営者や工業技術者や熟練労働者の組織特殊的な人的資産を、まさにオーナや支配株主の簒奪から防衛する垣根へと変わりつつあるのです。それは、株主主権的な会社から共同体的な会社への転換としてとらえることもできるはずです。当り前ですが、おカネの力によって縛りつけられていないならば、オーナや支配株主といった生身の人間に従属して働くよりは、法人としての会社という抽象的なもとで働くほうが、はるかに働くモチベーションは高くなるはずです。 だが、振り返ってみれば、いま会社制度の「第2」の役割であると述べた、組織特殊的な人的資産の「事実上の」所有者としての役割とは、実のところ、会社という制度のそもそもの出自に戻っているだけだと言えます

共同体的な会社への転換..しっかりかんがえます
会社はこれからどうなるのか