小さくなることの利益 〜岩井克人さんのご本から 8

 物流や金融仲介や情報媒体のように、規模の経済や範囲の経済が強くはたらき、場合によってはデ・ファクト・スタンダードの原理がはたらいてしまう分野においては、逆に、意図的に会社組織の規模や範囲を小さくすることによって、巨大会社とは直接に競合しないニッチ市場を確保しようと試みている会社が多数あります。
 金融仲介業を例にとれば、一方に、全世界に支店網を張りめぐらし、銀行、証券、保険とすべての分野の業務を傘下におさめた巨大な総合金融会社があります。そのような巨大会社同士が激しく競いあっているグローバルな市場のなかで生き残っていくためには、まさに地域経済に密着して、貸し手や借り手にかんする数量化しにくい情報をもとに、きめ細かに資金の借り入れと貸し出しをおこなうことによって利益を確保していく、地方銀行や信用金庫のような生き方があるでしょう。あるいは、先端医療機器やナノ・テクノロジなどといったように、特殊分野にかんする情報に習熟し、その分野における有望なプロジェクトに絞り込んだ融資やコンサルタントをおこなって利益を確保するモスキート投資銀行といった生き方もあるでしょう。(中略)
 ニッチ市場を見出すことによって、みずからのコア・コンピタンスを確立していくことなのです。利潤は差異性からしか生まれないのです。 オープン・アーキテクト化のなかでの会社組織のひとつのあり方が、小さくなることであるというのは、まさにこのようなことを指しているのです

オープン・アーキテクト化のなかでの会社組織のひとつのあり方が、小さくなること..とりもなおさずIdentityですね、みがきをかけるは
会社はこれからどうなるのか