商業資本主義、産業資本主義、ポスト産業資本主義 〜岩井克人さんのご本から 6

 ポスト産業資本主義の時代とは、すべてが絶えず変化する、本当に目まぐるしい時代です。このポスト産業資本主義にかんしては、企業が新しい製品や新しい技術や新しい組織形態や新しい市場をつねに追求せざるをえないということで、その「新しさ」がひたすら喧伝されています。なにしろ、そこでは「新しさ」が価値なのです。いや、「新しさ」しか価値がないと言ったほうがよいでしょう。なぜならば、どのように独創的な製品も、最先端の技術も、画期的な組織形態も、未開拓な市場も、いつかは必ず他の企業によって模倣されたり、改良されたり、追随されたり、参入されたりしてしまい、その差異性を失ってしまうからです。利潤は差異性からしか生まれません。それゆえ、それぞれの企業が永続的に利潤を生み出していくためには、たえず新しい技術や新しい製品や新しい組織形態や新しい市場を追求せざるをえないのです。
 そして、このような「新しさ」の洪水におぼれてしまい、ポスト産業資本主義こそ歴史始まって以来の新しい社会であるなどと、興奮して語り始める人間も出てくる始末です。だが、ポスト産業資本主義を支配している原理そのものには、何の新しさもありません。それは、差異性から利潤を生み出していくという資本主義の基本原理以外の何ものでもないのです。それまでの資本主義とちがっているところがあるとしたならば、それはそれが資本主義の基本原理を意識的に利用しているという点にあるのです。まさに「ポスト・モダン」

利潤は差異性からしか生まれません..しんりはきびしいですね
会社はこれからどうなるのか