課題処理型の管理職 〜柴田昌治さんのご本から 8

 今のような変化の激しい時代では答えというのは必ずしも1つではない。ちょっとした条件次第でいろいろな答えがありうる時代だからだ。状況が変わり、新しい価値観が要求される時代には答えだけではなく、答えの出し方にも多様さが必要とされることも多い。にもかかわらず、なかなかそこの機転ができず、いつまでも自分の答えと経験が唯一絶対と思い込んでいるのがこの人たちの特徴である。 またこういう管理職は、往々にして部下の行動をすべて知っていなければ安心できないという傾向を持っている。つまり、部下を信頼することができないわけである。
 このタイプの人間は「人」そのものには無関心であるにもかかわらず、組織のなかで誰と誰がどういう関係にある、というような「人間関係」には興味があり情報も持ってる。ただその人が本当に信頼に足る人間なのかどうかということに関しては、もともとアンテナが向いていない。つまり、こういう人たちは、人そのものに関する情報をあまり持っていなくて、他人がどういう人間であるかという判断をする能力は脆弱である。したがって、信頼すべきなのかどうか、という判断もできないのだ。 つまり、基本的には人というのは信頼しないほうがいいというような見方をしている。「信頼できないもの」という前提のもとに論理を立てていくという傾向を持っているのだ。
 そういう意味では、こういうタイプの人たちは与えられた課題を処理することにのみ全力集中し、自分の頭で考えることをしてこなかったために、人を見る目を養うチャンスが持てなかった、ということなのだろう。どういう人なら信頼できるのか、どういう人を信頼してはならないのかという見極めをつけることができないから、結果として部下に裏切られるようなことも多くなる

ひとそのものにはむかんしん、む..
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