トヨタが構築した「変化し続ける仕組み」 〜柴田昌治さんのご本から 7

 1)未来は明日つくるものではなく、今日つくるものである。
 2)明日をつくるために行なうことが、今日に影響する。

 2つのテーマが経営上では最も実践が難しい課題である。企業は「今日の業績」を上げる活動と、「明日の準備」をする活動を同時併行的に進めなければならない。しかしわかっていても、経営陣、管理職層がこれを実現するのは現実問題として非常に難しい。「目の前で火事が起きているときにはそれを消すことが先である」というのが普通の企業の取り組み姿勢であろう。今日のことが放っておけない以上、明日のことは当然「先送り」になる。こんなときに「明日の準備」への活動を強行すれば必ず「今日の業績」に影響を及ぼす。したがって企業経営における基本的課題は、「今日の業績」向上と「明日の準備」とのトレードオフの関係をどのように解決するかである。これは具体的には「組織と人事」のあり方の問題となる。
 一般的にはピラミッド型組織は「今日の業績」向上のためにつくられており、「明日の準備」への活動はうまく機能しない。そこで「明日の準備」への活動を実現させるための1つの方法は、フレキシビリティのある新しい組織形態につくり変えることである。この道を選んで成功した代表的な企業がアメリカのGEである。もう1つの方法は、このフォーマルなピラミッド型組織を基本としながらそのなかに、「明日の準備」への活動が自主的に起きるようなインフォーマルな組織(仕組)を組み込むことである。第1章第5節で述べたように、トヨタは世界の企業に先駆けてこの仕組みをつくり上げたと言える

へんかをないほうする くふうですね
トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか