「勝てるのか」「儲かるのか」を問う 〜柴田昌治さんのご本から 6

 「今よりも「より良いものにしていく」というのが普通の会社でなされている改善だ。トヨタに経営マインドを持った人間が多いというのは、「それをやって競争に勝てるのか」と口にする管理者や監督者がたくさんいる、ということである。 たしかに勝ち負けしかない経営は薄っぺらだ。しかし、経営は「勝つ」ことから出発する、というのもまた事実である。 そして、外よりも内に目が向いたサラリーマンは「勝つ」ことをそれほど意識してはいない。通常のサラリーマンはリスクに対して消極的である。やるリスクとやらないリスクを天秤にかけると、普通のサラリーマンはやらないリスクをとる。

 そうは言っても、本当に仕事のできるサラリーマンというのは、それなりのリスクに対してチャレンジはしているものだ。ただ、そんな仕事のできるサラリーマンであっても、物事の判断基準は「今日の業績」レベルであるのが普通の会社だ。「どうしたら勝てるか」を判断基準にすると、「明日の準備」のための非常に高いレベルのありたい姿に向かって仕事をすることになるからだ。 経営マインドを持つというのはいつも「これで競争に勝てるのか」を考えていることであり、そこから導き出される「ありたい姿」に対して、少々のリスクがあってもなんとかしてしまおうという姿勢を持っている、ということである。 このような経営マインドを持つことは、変革のリーダシップをとるということでもある。

ありたいすがた がかぎですね
トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか