なぜ会社は変われないのか 〜柴田昌治さんのご本から

 指示・命令に従って仕事をする、というのは組織のなかで仕事をする人間としてはごく当り前のことである。 ただ、「指示に従っただけでは、指示する人が本当に意図していることにうまくそぐわないのではないか」と感じることがだれにでもある。そう感じたときにどうするか、ここが分かれ目なのだが、多くのサラリーマン(組織のなかで働く人)はこういう場合とりあえず表面的に「まあ、いいか」と指示にそのまま従うことでお茶を濁してしまっている。
 近年、雇用への不安の高まりから自分の市場価値を高めるべく、資格取得に励んだりしている人が多くなっている。しかし、いざというときのために確実に「自分の力」をつける方法は資格取得などではないだろう。先のような場合に与えられた指示に安易に従うのではなく、
   指示した人の本来の「意図」は何なんだろう
   指示をした人は何を本当は目指しているのか、何を成し遂げたいのか
   そのためにはどうすればいいのか
   指示されたこと以外に本当にやるべきことがあるのではないか
などを自分の頭で考えることなのだ。


 意外なことだが、私たちはこの「自分の頭で考える」ということをあまりしていない。非行を起こす少女たちだけの問題ではけっしてない。立派な大人がそうなのである。特に管理の厳しい職場に身を置く人たちほどそうなっている。指示されたこと、与えられた環境にそのまま従っているほうが、無難だし楽だからだ。 考えてみれば、小さい頃から学校教育等を通じて、よくできた子ほど「好き嫌いを言わずに、与えられたものをこなす」という習慣を強固に身に付けてきてしまったように思える。そして、この習慣は会社に(組織として整備された企業であればあるほど)ますます強化されている。会社に行けば自分で何も特に考えなくても、1日の時間の大半を会社が自動的に埋めてくれるからだ

”しろいエリート”でしたか、藤原和博さんのごほんにもありました
トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか