明日のことは心配しない 〜ひろさちやさんのご本から 4

 話は、王さまにある死刑囚が助命の嘆願をするところから始まります。
 「王さま、お願いです、1年間だけ死刑を待ってください。そうすれば、王さまの愛馬に空を飛ぶ術を教え込みます。そして1年後に、王さまの馬が空を飛べるようになれば、わたしを釈放してください。もしも1年後に馬が空を飛べなければ、その時は私を死刑にしてくださっても結構です」 王さまはその話に乗りました。そして、この死刑囚に1年間の執行猶予を与えたのです。思惑通りになった死刑囚は小躍りして喜びました。すると、その様子を見ていた別の囚人が言いました。

 「お前は馬鹿だ。1年くらいの執行猶予になっても、1年後には殺されるのに」これを聞いた死刑囚は反論します。 「いや、この取引は4対1で俺のほうが得をしているのさ。確かに1年後には俺が死刑になる確率はある。だが、助かる確率だって残されている。第一に、1年以内に王さまが死ぬかもしれない。第2に、1年以内にあの馬が死ぬかもしれない。第3に、1年以内にこの俺さまが死ぬかもしれない」 「それじゃあ、3対1じゃないか」 「そう、もう1つある。 第4に、1年以内にあの馬が空を飛べるようになるかもしれない。だから、4対1で俺が有利なんだよ」

 この死刑囚は80%以上の確率で助かったと思っている実にめでたい男です。世間の物差しで見ると、助かる確率はその逆の20%もない、しかも「空飛ぶ馬」なんて言い出す、まったく馬鹿な男、というところです。 しかし物語を読んだとき、わたしはあることに気づきました。この男の、このおめでたさがいい。わたしたちが未来を考えるときは、このおめでたさで考えればいいと思ったのです。未来は「なるようになるさ」と考えればいいと

ナニハサテオキ まえむきにいきること っすね
般若心経実践法(小学館文庫)