欲望の奴隷にはなるな 〜ひろさちやさんのご本から 2

 男の空腹はもう限界にきていたので、次の日にまた魔法の小銭入れを捨てに川へ行きました。けれども、いざ小銭入れを捨てようとすると、また「あと少しだけ..」という思いが湧いてきて、再び魔法の小銭入れを家へ持ち帰ったのです。 こうして、男は魔法の小銭入れを捨てる決心がつかないまま、やがて大量の100円玉に埋まって餓死しました。
 わたしたち日本人は、この男を笑えるでしょうか。この男は、ある意味では日本人を象徴しています。利益ばかりを追求し、守銭奴と化してバブル経済を発展させ、崩壊させた、今の日本人と同じです。
 人間には、持てば持つほど欲しくなり、買えば買うほど欲しくなるという無限の欲望があります。つまり、人間が欲望の奴隷になってしまう。これが奴隷的欲望です。しかも、今の日本人は奴隷的欲望を無制限に肥大化させている。これでは日本人が規範を喪失したとしても不思議ではありません

まほうのこぜにいれ、ちゃんとすてられるでしょか
般若心経実践法(小学館文庫)