「苦」の中にある「楽」を見つけよ 〜ひろさちやさんのご本から

 日本人はこの話を聞くと、「苦は楽の種、楽は苦の種」と解釈します。「今は苦しいけど、いずれ楽になる、今は楽だけどいずれくるしくなるぞ」と理解します。 しかし、中国人はそうではないらしい。「苦の中にも楽があり、楽の中にも苦がある」と解釈しているのだそうです。「苦が楽に変わる」ことはない。「苦は苦のまま」なんです。日本人は「苦はいずれ楽に変ずる」と思っている人が多いようですが、これは仏教の解釈ではないのです。実は、お坊さんの中にも誤って「苦は楽の種、楽は苦の種」と言う人がいますが、それは間違いです。
 仏教では、苦はいずれ楽になるのではなく、ものの見方、物差しの当て方によって楽になれると教えているのです。 たとえば、マラソン選手を見てると、世間のレッテルでは「苦しいだろう」と思います。でも、そのマラソン選手にしてみれば、本当に苦しいことなのでしょうか。 マラソンどころか常日頃から走りもしない人にとっては苦しく思えるかもしれませんが、実際に走っている選手はそれほど苦しいとは思っていない。もちろん、ただ歩いているよりは苦しいとは感じているでしょう。しかし、実際に選手の話を聞いてみると、「走れること」を楽しく感じていることが多いと言うのです

こころひとつですね!
般若心経実践法(小学館文庫)