情けは人のためならず 〜フランス・ドゥ・ヴァールさんのご本から 3

 意思がぶつかるところ、かならず交渉がある。当事者は相手の行動を予想するが、それはやがて暗黙の了解に収斂していく。合意とは合理的な決定ではなく、自分の行動に対する相手の反応を調整することにほかならない。最終合意には相手の希望やニーズが考慮されているため、そこには社会契約の原型が見られる。
 人間の道徳性の中心には、こうした調整をやろうとする感情がある。それは共感であり、喜ばせたい、怒らせたいという欲求であり、予想への執着だ。児童心理学者であり、動物行動学者でもあるウイリアム・チャールズワースによると、子離れしようとする母親に対する子供の抵抗は、道徳的な憤激の最初の表現だという。

合意とは、相手の反応の調整、coolっす。社会契約だからこそ..ですね
利己的なサル、他人を思いやるサル―モラルはなぜ生まれたのか