はじめに 〜山岸俊男さんのご本から

 人を信じることは、おろかなお人好しのすることでしょうか。それとも逆に、誰も信じないで「人を見たら泥棒と思え」と思っている人こそ、おろかな人間なのでしょうか。この本はこの問いを出発点としています。そして、その答えはわれわれ自身が作り出しているのだという結論にたどり着きます。 この問いに対する答えをわれわれ自身が作り出しているということは、ある社会的な環境の中では他人を信頼する人はおろかなお人好しであり、別の環境では他人を信頼しない人がおろかな人だということを意味しています。
 こういうと、「何だ、いつもの文化相対主義の話か」と思う人もいるでしょう。しかし、そうではありません。ここで言いたいのは、ある文化では「他人を信頼する人はおろかなお人好しだ」と信じられているということではありません。また「他人を信頼しない人はおろかな人間だ」と考えている文化もあると言おうとしているわけでもありません。そうではなく、この本で筆者が言いたいのは、他人を信頼することが本人にとって有利な結果を生み出す社会的環境と、他人を信頼しないことが有利な結果を生みだす環境が存在すること、そしてその環境はわれわれ自身が作り出しているということです

その環境はわれわれ自身が作り出している、”神との対話”みたいっす
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)
神との対話―宇宙をみつける自分をみつける (サンマーク文庫―エヴァ・シリーズ)