才能を生かすEQ 〜ダニエル・ゴールマンさんのご本から 4

 「フロー」は忘我の境地だ。あれこれ考えたり心配している状況とは正反対だ。「フロー」状態の人間は目の前の課題に熱中するあまりすべての自意識を忘れ、日常生活の些事を−健康のことも、請求書のことも、うまくやろうという意識さえ−忘れてしまう。そうした意味で、「フロー」の瞬間にはエゴが消失しているわけだ。
 逆説的ではあるが、「フロー」状態の人間は自分の行為を完璧にコントロールでき、状況の変化にも完璧に対応できる。しかも、「フロー」状態のときは最高の能力を発揮しているにもかかわらず、「自分はうまくやっているだろうか、成功するだろうか」といったことには関心がない。行為そのものに対する純粋な喜びが動機になっているのだ。
 「フロー」状態に入るには、幾つか方法がある。ひとつは、目の前の課題に意識的に注意を集中する方法。高度に意識が集中した状態は「フロー」の本質だ。課題にとりかかる前に心を静め気持ちを集中する段階では、かなりの努力が必要となる。「フロー」への関門を越すには意識的な自立が必要だ。しかし意識が一点にきちっと定まってしまえば、あとはフィードバック・ループのようにプロセスが自動的に展開し、情動の揺らぎから解放されて課題が次々とこなせるようになる。 自分の得意分野で少し高めの目標に挑戦するのも「フロー」を達成するひとつの方法だ。
 ただ注意しておかなければならないのは、「フロー」が才能の限界内、反復練習して脳の神経回路が効率よく発達している範囲でしか起こらないということだ

行為そのものに対する純粋な喜びが動機..これですよね、コレ! すきこそもののじょうずなれ ってちとちがうか
EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)