はじめに 〜岩井克人さんのご本から

 おカネが重要でなくなる? −たしかに、この言葉はひどく逆説的に響くでしょう。常識的には、資本主義のグローバル化とは、おカネによる支配が全世界的な規模にまで拡大したことと見なされているからです。じじつ、1997年の夏にタイで勃発し、またたくまに全世界に波及したあのアジア通貨・金融危機は、おカネが世界中を自由に動き回るようになったことによって、引き起こされました。
 だが、このようにおカネが世界中を自由に動き回るようになったのは、おカネの支配力が増したからではありません。それは、逆に、おカネの重要性が減ってきたことの結果なのだということを、わたしは言うつもりです。おカネの支配力が弱まってきたからこそ、おカネはすこしでも有利な投資先を求めて世界中を動き回らざるをえなくなったのです。
 そのことを説明するために、この本の後半では、「資本主義」について解説をあたえてみようと思います。そのなかで、いま日本でも世界でも、多数の人間を巻き込みながら進行しているグローバル化、IT革命、そして金融革命は、いずれも、先進諸国の資本主義が産業資本主義からポスト産業資本主義へと転換していく大きな歴史の流れの3つの側面にすぎないということを、指摘したいと思います。そして、資本主義の究極の形態と見なしうるポスト産業資本主義において、なぜおカネの重要性が失われていくことになるのかを、できるだけ簡潔に論じてみるつもりです

資本主義の究極の形態と見なしうるポスト産業資本主義..ほんにじだいはひたはしりますね、ほりえさんもべんきょうになります
会社はこれからどうなるのか