クリエイティブ・アカウンティング? 〜山田真哉さんのご本から 5

 僕には初めて耳にする言葉だった。
 「日本語でいうと<創作会計>とでも言うのかしら。あらゆる会計手法を駆使して、違反ギリギリのラインで自分達にとって最も都合のいい財務諸表を作り上げることよ」 萌さんが解説をしてくれた。
 「文屋は監査法人時代から、<創作会計>をすることに喜びを感じる奴だったんだ」
 「監査人が<創作会計>をするって、どういうことですか」
 「新しい会計基準ができるたびに、その裏をかいた会計手法を考えてクライアントに提案するのよ。<この基準のここをつけば、利益を増やせますよ>ってね。そうすれば、クライアントからの信頼度が増すし、監査報酬も増やしやすいから」
 「でも、監査人がそんなことをしてもいいんでしょうか。確かに、僕らはクライアントから報酬をもらっている身だから、クライアントのためになるような仕事をしなきゃいけないかもしれませんけど」 僕の疑問に対して大友さんが口を開いた。
 「監査の仕事から離れてますます感じることだが、やはり監査は社会のために仕事をすべきであって、特定の企業のために仕事をすべきではないな」
 「そうよね。警察が悪を見過ごせば治安は滅び、政治家が利権と結びつけば政治は滅び、会計士が不正を許せば経済は滅びるのよ」

くりえいてぃぶ ってことば、要ちゅういですね
女子大生会計士の事件簿